蟲愛づる人間の独り言

虫って可愛いよね。ものによるけど。

蝉ファイナル

セミファイナルを乗り切ろう

この季節になると終活を始めるセミさんも出てくるわけでして。俗に言うセミファイナル。

初めてセミファイナルという言葉を聞いた時に、え、掛け言葉がうますぎだろってドン引きした記憶がある。

それはいいとして、「セミファイナルが怖いからセミ嫌い」っていう人多すぎる。セミが嫌いな人にとってさぞかし日本の夏は地獄だろう。

ある知り合いの20代男性は、某Gキブリよりもセミが嫌いで、セミが家の前でひっくり返ってたら、外出予定を総キャンセルするらしい。そんな理由でドタキャンされる相手の気持ちにもなってみたまえ。

とにかく、セミが苦手なあなたのために、日本の夏を乗り切る方法を考えてみた。かくいう私は大のセミ好きである。参考になるかはわからない。

まずセミを恐れる理由をまず分析してみた。

セミが怖い理由

①飛び方・鳴き声・羽音

ジジッジジッと鳴きながらばちばちと羽音を立て、狂ったようにものにぶつかるまで旋回しながら飛びまくるのが耐えられないという説。もちろん人間にぶつかってくることもある。私もハエや蚊の羽音には毎年ゾッとさせられているので、嫌な気持ちはなんとなく理解できる。

②サイズ

大きいよね。Gキブリもでかいけど、やっぱり大きい昆虫って存在感があるからね。昆虫そのものが無理な人にとって、大きければ大きいほどあかんというのはよく分かる。

③いる場所

セミが苦手だろうと問答無用で、あらゆるところにセミは落ちている。死んでいるかと思うと、意外と生きている。先日筆者も誤って暗闇のセミを蹴ってしまい、「何するんだあジジジ涙」と騒がれた。その節は、心よりお詫び申し上げます。

セミに慣れる方法

ここからは先の分析をもとに、セミさんに慣れるorあわよくば好きになる方法を考案してみた。あらかじめ言っておく。多分役に立たない。forgive me 。

セミの人生に共感する

考えてもみてほしい。セミは長年土の中で、暗い暗い土の中で暮らしてきたのである。そして地上に出てくると、命を賭けた羽化を行う。この過程でよろよろと路上に出て踏み潰されたり、殻から出ることに失敗してそのまま死んでしまったり、天敵に食べられたり、人間どもに捕まったりする子もたくさんいるはずだ。

そんな数々のリスクを乗り越えてようやく大人になり、たった二週間の命を燃やして飛んでいるのである。なんと感動的ではないか。どうかあなた自身、セミになりきったつもりで共感してあげてほしい。温かい目で見守ってほしい。きっと嫌いにはなれないはずだ。たぶん。

②大きさに慣れる

マダガスカルに行こう。グアテマラでもいい。グアテマラに住んでいた友人は、Gキブリだろうが大きなハエだろうが笑顔で対応。まるで無頓着である。巨大サイズの昆虫に慣れておけば、セミなんて可愛いもんである。

③脳内シミュレーションを行う

あらゆるところにセミはいる、と心してかかれば怖いものはない。エレベーターの中にもいるかもしれないし、ベランダにいるかもしれない。「この角を曲がればきっとセミがいる」と妄想し、身構えて行動することが肝要だ。備えあれば憂いなし、といったところだ。

 

どうだろう。セミファイナルを乗り切れそうだろうか。個人的に頑張って生きてきたセミさんには敬意を払いたいし、まだ生きているのに怖がられ、忌み嫌われて独りひっくり返って死んでいくのはあまりに可哀想だと思っている。だから、よく生きている子は拾って、樹液の出ている木の低いところにつけてあげている。せめて余生を穏やかに、飢えず人に踏まれず涼しいところで過ごさせてあげたいのだ。共感者、求む。